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2025.09.12
外壁の黒ずみや雨筋、コケに悩んでいませんか。幹線道路沿いの排気粒子、海沿いの塩分、北面の高湿度は付着汚れと微生物繁殖を加速させます。放置すると紫外線で塗膜が脆化し、洗っても再付着が早まります。そこで役立つのが防汚コーティングです。接触角100度超の超疎水や、雨で汚れを流す親水コートなど、仕上げや立地で選び方が変わります。
本記事では、接触角・転落角・膜厚・塗布量・期待耐用年数・年あたりコストを軸に比較し、サイディング/モルタル/タイル別の最適解を提示します。施工品質を左右する含水率管理や下地処理、クリア塗装の可否判断、DIYと業者施工の線引きも具体的に解説します。
著者は外装改修での監理実務と公開技術資料の参照に基づき、試験結果(促進耐候と実曝露の違い)まで丁寧に整理しました。読み終えるころには、あなたの外壁に最適なコーティングと再施工サイクルが明確になります。まずは、立地と外壁材の汚れ傾向から見ていきましょう。無理な万能論を避け、数値で納得できる選び方をご案内します。
CONTENTS
外壁の汚れは立地条件と素材で大きく変わります。幹線道路沿いは排気由来の煤煙や金属粉じんが付着しやすく、海沿いは塩分ミストが結露と結びつき固着します。北面は日射が弱く乾きにくいためコケやかびが発生しやすいです。サイディングは目地や微細凹凸に汚れが残留し、モルタルは表面の毛細管が雨水を引き込み雨筋汚れを誘発します。タイルは親水性や目地の粗さ次第で差が出ます。外壁汚れ防止コーティングは、撥水や親水、光触媒などの機能で立地×素材のリスクを抑え、外壁の清掃頻度や外壁塗装の劣化進行を低減します。外壁コーティング剤はクリアタイプやガラスコーティングなど多様なので、立地特性に合わせて選定します。
立地/素材 | 主な汚れ要因 | 症状の出やすさ | 有効なコーティング機能 | 留意点 |
---|---|---|---|---|
幹線道路沿い | 粉じん・煤煙・油性粒子 | 高い | 親水性/光触媒 | 黒ずみの再付着抑制が要 |
海沿い | 塩分ミスト | 中〜高 | 撥水/無機ガラス系 | 塩だまり洗浄と併用 |
北面・樹木近接 | コケ・かび・花粉 | 高い | 親水/防藻・防かび | 日射不足で乾きにくい |
サイディング | 目地・凹凸への付着 | 中〜高 | 低汚染クリア | 目地シーリング保護 |
モルタル | 毛細管吸水 | 中 | 撥水浸透型 | 雨筋抑制に有効 |
タイル | 目地汚れ・石灰白華 | 中 | 親水/防汚 | 目地保護を優先 |
大気中の粉じん、煤煙、花粉は粒径と表面エネルギーの影響で外壁に物理吸着し、油性成分を含むと洗剤なしでは落ちにくくなります。外壁汚れ防止コーティングの親水性膜は汚れと壁の界面エネルギーを下げ、薄い水膜で浮かせ流します。一方、微生物汚染(コケ・かび・藻)は湿度が高く日射が弱い北面や植栽が近い環境で繁殖します。表面粗さが大きいサイディングや目地は胞子の足場になりやすく、疎水だけでは防ぎきれません。光触媒や防藻・防かび機能を組み合わせ、定着前の分解と増殖抑制を同時に狙うことが有効です。清掃時は中性洗剤と低圧洗浄を用い、表面を荒らさない運用が長期防汚に直結します。
紫外線は塗料樹脂の結合を切断し、艶引けやチョーキングを引き起こします。粉化した顔料が微粒子汚れを抱き込み、外壁の白化や黒ずみを増幅します。雨水は流下時に粉じんや花粉を巻き込み、サッシ下や凹凸に集まって乾燥後に雨筋汚れとなります。外壁汚れ防止コーティングでは、無機ガラスコーティングやフッ素樹脂でUVと酸性雨への耐久を高め、親水性膜で水がシート状に広がるよう制御し、筋状の流路を作らせません。モルタルやコンクリートには撥水浸透剤で吸水を抑え、サイディングやタイルにはクリアの親水・光触媒系を組み合わせると、紫外線劣化の進行抑制と雨筋の同時対策がしやすく、外壁塗装の再塗装周期の延伸に寄与します。
外壁汚れ防止コーティングは、超疎水、親水、フッ素、ガラス系で機能が明確に異なります。評価軸は接触角と転落角、セルフクリーニング性、帯電防止性です。超疎水は接触角が大きく水玉が転がりやすい一方、帯電で粉塵が残る場合があります。親水は水膜化して汚れを面で流し、静電気の影響を受けにくいのが強みです。フッ素は低表面エネルギーで付着抑制に優れ、ガラス系は無機被膜で耐摩耗と耐候に強い特性があります。外壁材や地域の汚れタイプ(煤煙、花粉、排気、苔)に合わせて組み合わせを検討します。
系統 | 代表特性 | 接触角/転落角の傾向 | セルフクリーニング | 帯電防止の傾向 | 想定用途 |
---|---|---|---|---|---|
超疎水 | 強い撥水 | 接触角大/転落角小 | 雨粒が転がり粒子を回収 | 静電気で微粉残留の懸念 | 粉塵が多い斜壁・庇 |
親水 | 水膜形成 | 接触角小/転落角評価外 | 水膜で面洗浄 | 影響小 | 日射と雨が得られる壁面 |
フッ素 | 低付着 | 中/小 | 汚れの定着抑制 | 影響中 | サイディングの長期防汚 |
ガラス系 | 無機硬質 | 中/中 | 表面平滑で洗浄性 | 影響小〜中 | 高耐久・透明クリア仕上げ |
超疎水は雨が水玉で転がるため、粒状の砂塵や花粉を巻き込みながら離脱します。転落角が小さいほど弱い勾配でも転がるため、垂直壁でも効果を体感しやすいです。ただし連続的な粉末や煤が静電で残ると、水玉が通過しても薄汚れが点状に残ることがあります。親水は水が膜状に広がり、面全体が均一に濡れて汚れを面で押し流します。雨筋跡が出にくく、煤や油分が混じる都市部の外壁で安定しやすい一方、少雨や日照不足の面では水膜形成が弱く効果が限定的です。実務では陰面は超疎水、日照と降雨が得られる面は親水というように、面ごとの使い分けが有効です。
フッ素は樹脂結合が強く、外壁の防汚と撥水を長期に維持しやすいのが利点です。成分表示でフッ素樹脂の含有、滑水性、耐候等級を確認し、苔やカビの多い地域では防カビ剤配合の有無も選定基準にします。ガラス系は無機シロキサン結合で紫外線劣化に強く、クリア仕上げで意匠サイディングの保護に向きます。UV吸収剤や光安定化剤(HALS等)の併用が記載されていれば黄変やチョーキング抑制に有利です。外壁汚れ防止コーティングとしては、ガラス系の硬度とフッ素の低付着を積層で併用する仕様もあり、価格とメンテ周期のバランスで比較検討すると失敗が減ります。
外壁汚れ防止コーティングは、外壁材と仕上げ艶の相性で選定精度が変わります。艶ありは撥水と防汚で強く、雨筋や排気汚れが付きやすい道路沿いで有利です。艶消しは意匠重視の住宅で人気ですが、表面が微細凹凸になりやすく、低汚染タイプの樹脂やガラスコーティング併用が安全です。クリアは意匠サイディングの柄・石目を活かせますが、チョーキングや色褪せが進んだ面は密着不良やムラのため不可です。意匠保持を優先する場合は、良好な下地状態に限りクリアを選び、劣化進行時は同系色の低汚染上塗りへ切替えます。
タイルの外壁汚れ防止コーティングは、タイル自体の吸水率と目地の含水、表面仕上げで選定が分かれます。吸水率が低い磁器質は表面型の透明コートで防汚と色艶を強化し、素地が微吸水するせっ器・ブロックやモルタル目地は浸透型撥水剤で雨水の侵入を抑えます。目地は汚れの起点になりやすいため、先にコーキングや欠損補修を行い、白華やエフロは除去後に施工します。酸性洗剤での洗浄後は十分に中和と乾燥を取り、密着低下を回避します。
推奨組み合わせ早見
外壁材/状態 | 主目的 | 推奨コーティング | 仕上げ艶 | 施工の要点 |
---|---|---|---|---|
意匠サイディング/健全 | 意匠保持と防汚 | クリア低汚染または無機クリア | 艶あり〜3分艶 | 退色・チョーキングが無いか確認。試験塗り必須。 |
意匠サイディング/退色 | 均一美観 | フッ素または無機の着色上塗り | 艶あり/艶消し | クリア不可。下地調整とシーリング先打ち。 |
窯業サイディング/雨筋多発 | 雨筋抑制 | 親水型フッ素/無機 | 艶あり〜半艶 | 雨筋テスト後に選定。庇の少ない面に有効。 |
モルタル/微細クラック | 追従と低汚染 | 微弾性下塗り+低汚染シリコン/無機 | 艶消し | クラックVカットの要否判断。吸水抑制を重視。 |
タイル/磁器質 | 防汚と艶回復 | 表面型クリア | 艶あり | 洗浄・中和後に均一塗布。滑り対策に注意。 |
タイル/せっ器・目地多 | 吸水抑制 | 浸透型撥水剤 | 変化少 | 目地先行塗布。白華除去と乾燥管理。 |
外壁汚れ防止コーティングの費用は、面積や足場の有無、下地の劣化度合い、材料グレード、施工手順の丁寧さで大きく変動します。例えばサイディングとモルタルでは下地処理の工程が異なり、洗浄や補修の手間が費用に直結します。材料はシリコン、フッ素、光触媒、無機系やガラスコーティングで単価差があり、耐用年数にも影響します。さらにスプレーガンかローラーか、下塗りの有無、コーキングの打ち替えか増し打ちかなどの違いも合計金額に反映されます。DIYでは足場なし作業によるリスクや品質低下が再施工を早め、結果的に割高になることがあります。
外壁コーティングの見積は、建物の外周長と高さから算出した実面積、仮設足場の必要性、チョーキングやクラックの有無、採用するコーティング剤の等級、洗浄から乾燥・養生・塗布回数までの工程で決まります。外壁用コーキング剤の打ち替えや、サイディング目地の劣化補修を含めるかも重要です。スプレー塗布は均一性に優れますが飛散対策が必要で、ローラーは飛散が少ない代わりに時間を要します。撥水剤の併用や光触媒層の追加は初期費用を押し上げますが、清掃頻度の低減に寄与します。
長期コストを抑えるには、初期費用だけでなく年あたりコストで比較する視点が有効です。初期施工に加え、外壁清掃の頻度と単価、再施工までの年数を合算し、総額を耐用年数で割るのが基本です。美観と撥水性能の維持により清掃回数が減れば、見かけの高価格でも年あたりでは有利になります。DIYの材料費が安くても、耐久が短く再施工サイクルが詰まると年あたりコストは上昇します。足場費用は総額に占める割合が大きく、再施工回数を減らす高耐久コーティングの採用は効率的です。
総コスト=初期施工費(材料+人件+足場+下地補修)+定期清掃費(年回数×単価×年数)+再施工費(次回時の同等範囲)。これを想定耐用年数で除して年あたりコストを算定します。例えば、シリコン系は初期費用が抑えられる一方、清掃頻度がやや多く再施工が早まる傾向があります。フッ素や無機・ガラスコーティングは初期は高めでも、清掃間隔を延ばし再施工も遅らせられるため、長期では優位に働きます。地域の汚れ環境や紫外線量、海風の塩害も前提条件に含めて見積もると精度が高まります。
外壁のクリア塗装は既存意匠を活かしつつ汚れ防止コーティングを重ねる方法ですが、可否は下地の健全性で決まります。チョーキングが強い場合はクリアの密着不良や白濁の原因となり、顔料入りの上塗りへ切り替える判断が必要です。サイディングの意匠柄を残したいときは、洗浄後の粉化状況を入念に確認し、吸い込みを抑える下塗りで密着を確保します。2回目のクリアは既存クリア層の劣化度合いを精査し、艶の選択や光触媒・無機系の組み合わせで耐久と撥水の両立を図ることが重要です。
判断手順は次の通りです。1)ウエスで表面を擦り、粉が付くかでチョーキングを判定。強い場合はクリア不可の可能性が高く、下地調整と色付き塗装に変更します。2)既存塗膜の浮き、クラック、シールの破断を点検し、外壁用コーキング剤で補修後に密着試験を行います。3)2回目のクリアは層間の相溶性と黄変のリスク、艶のムラ、スプレーガン使用時の飛散対策に留意します。意匠サイディングでは早期のクリア再施工が有効で、遅れるほど色褪せの補正が難しくなります。
外壁汚れ防止コーティングの概算相場と耐用の目安
区分 | 代表的な種類 | 参考単価(円/㎡) | 想定耐用年数 | 清掃頻度の目安 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
標準 | シリコン系撥水 | 2,000〜3,000 | 10〜15年 | 年1回 | バランス重視で広く採用 |
高耐久 | フッ素系 | 4,000〜6,500 | 15〜20年 | 2年に1回 | 汚れ付着が少なく長寿命 |
高機能 | 光触媒系 | 4,000〜7,000 | 12〜18年 | 2年に1回 | セルフクリーニング効果 |
無機・ガラス | 無機系/ガラスコーティング | 5,000〜8,500 | 18〜22年 | 2〜3年に1回 | 耐候・低汚染に優れる |
クリア仕上げ | クリア塗装(意匠サイディング) | 3,500〜6,000 | 10〜15年 | 年1回 | 下地健全性が条件 |
外壁汚れ防止コーティングは、1階の範囲で足場なしでも、スプレー缶やスプレーガン、ローラーを使ったDIYが可能です。サイディングやモルタルの健全面で、チョーキングが軽微か無い状態が前提です。養生は窓、金物、植栽、車両まで広めに行い、飛散や撥水剤の付着を防ぎます。気温は5〜30℃、湿度は85%未満を目安にし、乾燥時間は指触1〜2時間、重ね塗り4〜6時間、完全硬化は24時間以上が一般的です。日射と風で乾きが早まるため、ムラ防止に小面積ずつ区切り塗りを徹底します。高圧洗浄後は24時間以上乾燥させ、コーキングの増し打ちや補修は先行します。脚立は角度75度前後、転倒防止の番人を確保し、保護具を必ず着用します。
外壁用防水スプレーは手軽ですが、膜厚が薄く、持続性は数ヶ月〜1年程度に留まる製品が多いです。既存の外壁塗料や外壁コーティング クリアへの上塗り互換は限定的で、溶剤干渉で白化や軟化、艶ムラが出る場合があります。特に濃色面や既存の光沢面では、スプレーの重なりで曇りが目立ちます。噴霧は風で飛散しやすく、ガラス、金物、車両に付着すると除去が困難です。ガラスコーティング系を名乗るスプレーでも実際はシロキサン系撥水で、建築用の無機ガラス被膜とは耐久が異なります。広面積やサイディング目地周りではムラが生じやすく、ローラーと刷毛での均しが必要です。上塗り互換はメーカーの適合表を確認し、小面積で試験塗りを行ってから本施工に進めます。
高所作業が必要な2階以上、勾配のある敷地、狭小間口での足場組立が求められる場合は業者依頼が安全で確実です。チョーキングが進行して手が白くなる程度、ヘアクラックやサイディングの反り、外壁用コーキング剤の破断・肉痩せ、雨染みの固着、藻・カビの再発が早い場合も専門の下地処理が不可欠です。品質確保は、洗浄→乾燥→劣化部補修→シーリング打替え→下塗り→中・上塗りまたはコーティングの工程管理が鍵です。外壁 ガラスコーティングや光触媒など高性能系は、専用プライマーや所定の塗布量、噴霧条件を満たす必要があり、スプレーガンでの均一散布や温湿度管理、塗布量のml/㎡管理を実施します。価格は外壁コーティング 価格の相場に加え、足場費や付帯部の塗装・コーキングの範囲で変動します。
外壁汚れ防止コーティングは、工程管理の精度が仕上がりと耐久に直結します。高圧洗浄で藻や粉化塗膜を除去し、洗剤はリンスアウトまで徹底します。乾燥では材質の含水率をサイディング・モルタルともに目安8〜12%以下に管理し、気温5℃未満や結露時は施工を避けます。クラックや目地は外壁用コーキング剤で補修し、付帯部は確実に養生します。プライマーで密着を均一化し、上塗りは規定塗布量と希釈率を順守します。硬化は気象条件に応じて時間を延長し、初期降雨や強風、直射日光の影響を回避します。DIYではスプレーガンやスプレー缶の飛散にも注意し、足場やはしごの安全確保を優先します。
種類別の管理目安
項目 | サイディング | モルタル | タイル・コンクリート |
---|---|---|---|
含水率目安 | 10%以下 | 12%以下 | 8〜10%以下 |
施工温度 | 5〜35℃ | 5〜35℃ | 5〜35℃ |
相対湿度 | 85%未満 | 85%未満 | 85%未満 |
指触乾燥 | 1〜3時間 | 2〜4時間 | 1〜3時間 |
研ぎ出し/重ね塗り | 4〜24時間 | 6〜24時間 | 4〜24時間 |
完全硬化 | 3〜7日 | 5〜7日 | 3〜7日 |
外壁コーティングとコーキングの相性は、可塑剤移行と追従性、素地密着が鍵です。変成シリコーン系は上塗り適合が広く、ウレタン系は塗装適性に優れますが、ノンブリードタイプを選ぶと可塑剤滲み出しによるベタつきや汚染を抑えられます。打ち替え後はプライマーで界面を整え、目地表面は平滑に仕上げて膜厚ムラを防ぎます。光触媒や無機系、ガラスコーティングのような硬質皮膜では、目地の動きに追従できる弾性クリヤーや可とう下塗りを採用し、ひび割れを回避します。外壁塗装の一部だけDIY補修する場合も、シーリング材の乾燥と重ね塗り間隔を守り、密着確保を最優先にします。
外壁汚れ防止コーティングは、製品ラベルと技術資料を突き合わせて判断することが重要です。まずVOC含有量と規制適合、F☆☆☆☆等の等級表記の有無を確認します。次に推奨施工条件として気温・湿度・下地含水率・可使時間・再塗装間隔をチェックし、スプレー、ローラー、スプレーガンなど適用機器とノズル径も確認します。塗布量はg/m²やml/m²で下塗り・上塗り別に記載があるか、標準塗回数と膜厚の根拠が示されているかを見ます。期待耐用や清掃サイクルは暴露試験条件とセットで評価し、外壁材(サイディング、モルタル、タイル、コンクリート)ごとの適合性、撥水や疎水のタイプ、クリア仕上げの可否、外壁コーティング価格の算定単位まで一貫して確認します。
適合情報一覧
項目 | 確認ポイント | 推奨記載例 |
---|---|---|
VOC | 規制適合・含有量 | 〇g/L、規制適合 |
等級 | 低ホルムアルデヒド等級 | 等級表記あり |
施工条件 | 気温・湿度・含水率 | 5〜35℃、RH85%未満 |
塗布量 | 回数別の数値 | 下塗り/上塗り ml/m² |
膜厚 | 乾燥膜厚 | 〇μm/回 |
乾燥 | 表面/硬化時間 | 指触/硬化時間 |
機器 | 施工機器 | スプレー/ローラー |
適合下地 | 外壁材別 | サイディング等 |
期待耐用 | 条件付き年数 | 暴露試験併記 |
清掃性 | 撥水/親水 | 水滴角度等 |
付加機能は、表示用語だけでなく試験法と条件が伴って初めて実効性を評価できます。UVカットは紫外線透過率や黄変度、屋外暴露や促進耐候(例えばUV照射時間とサイクル)が併記されているかを見ます。防カビは指定菌種での阻止帯や評価スコア、帯電防止は表面抵抗値や帯電圧の低減率、汚れ防止は接触角や防汚試験後の色差で比較すると実態に近づきます。光触媒型は紫外線照度が不足する立地では効果が限定されるため、親水性や撥水性のタイプ選択を見直します。ガラスコーティングやクリア仕上げでは外壁塗装の意匠を活かせますが、外壁クリア塗装の相場や可とう性の差に留意します。DIYなら外壁コーティングスプレーや撥水剤の外壁用表示、外壁用コーキング剤との相性を技術資料で確認し、足場なしの高所作業は避けるなど安全面も重視します。
付加機能評価の要点
機能 | 確認データ | 注意点 |
---|---|---|
UVカット | 透過率・黄変度 | 透明度低下の有無 |
防カビ | 菌種・評価法 | 屋外実環境差 |
帯電防止 | 表面抵抗値 | 汚れ再付着性 |
防汚 | 接触角・色差 | 雨洗効果の前提 |
光触媒 | 分解試験・親水 | 紫外線依存度 |
撥水/疎水 | 角度・持続性 | 再塗装性 |
クリア | 光沢・Haze | 意匠変化 |
ガラス系 | 硬度・耐擦傷 | クラック追従性 |
外壁汚れ防止コーティングの効果は、ビフォーアフターの写真だけでなく、汚れ再付着率と清掃頻度の数値で評価すると客観性が高まります。撮影条件は同一画角・同時刻帯・同天候の確保が基本で、露出やホワイトバランスの固定が重要です。評価期間は花粉や降雨の季節性を含む12カ月単位が望ましく、サイディングやモルタルなど下地別に分けて比較します。数値は面積汚染率や光学濃度の平均と標準偏差を示し、清掃インターバルの延伸率や外壁コーティングの価格対効果と合わせて提示します。
種類 | 撮影条件の固定 | 評価期間 | 主要指標 | 補助指標 |
---|---|---|---|---|
外壁 汚れ防止 コーティング有 | 三脚固定・同一露出 | 12カ月以上 | 面積汚染率(%) | 清掃間隔(週)、降雨日数 |
外壁コーティング クリア | 偏光フィルタ有 | 季節一巡 | 光学濃度(OD) | 色差ΔE、撥水接触角 |
外壁 ガラスコーティング | 同時並行比較 | 最低6カ月 | 再付着率(%) | 洗剤使用回数、スプレー清掃時間 |
促進耐候試験は紫外線や降雨を短時間で強化再現し、撥水や防汚の相対差を把握するのに適しています。一方、実曝露では排気粉じん、樹木の油脂、海塩、北面の乾燥遅延など複合要因が作用します。読み替えでは、接触角や疎水性の維持が良好でも、外壁用コーキング剤の可塑剤移行や目地汚れが支配するケースを考慮します。外壁 撥水剤や外壁 防水スプレーの短期効果は実曝露での清掃間隔に直結しにくいため、試験値は相対比較、実環境は年間清掃回数で評価するのが妥当です。
新規の外壁塗装に外壁汚れ防止コーティングを合わせる際は、下塗り〜上塗りの樹脂系統とトップコートの相性、メーカー保証条件、外壁材の質感維持を総合で判断します。フッ素トップは耐候と撥水に優れ、外壁の汚れ再付着を抑えます。親水系や光触媒はセルフクリーニングが強みですが、下地の艶や色に影響します。無機ガラス系は高硬度で防汚と耐紫外線に強く、クリア仕上げにも向きます。スプレーやスプレーガン適用可否、上塗りの可再塗装性も確認します。
種類別の要点
適合と条件の整理
推奨マトリクス(例示条件に基づく比較)
種類 | 主成分 | 得意性能 | 仕上げ適性 | 想定単価帯(施工材一式/㎡) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
フッ素 | フッ素樹脂 | 撥水・耐候 | 艶有〜7分艶 | 中〜高 | 雨筋防止と再汚染抑制 |
親水系/光触媒 | TiO2等 | 親水・汚れ分解 | 艶控えめ | 中 | 日照面で効果が安定 |
無機ガラス系 | シロキサン等 | 硬質・低汚染 | クリア/意匠保護 | 高 | 高硬度で擦過に強い |
外壁コーティング 価格の算出は下地処理量で変動します。スプレー缶は外壁用防水スプレーとは目的が異なるため、外壁 撥水剤と混同せず、用途に合う商品仕様(mlやkg表記、適用外壁、推奨塗布量)を確認します。
既存塗膜の診断が、外壁汚れ防止コーティングの密着と耐久を左右します。チョーキングは白亜化度合いを指触とウエスで評価し、粉化が強い場合は高圧洗浄後に下地強化プライマーや浸透シーラーを選定します。微ひび割れは外壁用コーキング剤や微弾性下塗材で追従性を確保し、サイディング目地はシーリング材の劣化(亀裂・肉やせ)を打ち替えます。モルタルは素地強度と含水率を確認し、撥水塗料や親水系の適用条件を整理します。
主な状態と処方
工程別の確認ポイント
下地評価フロー
項目 | 確認方法 | 判断と対処 |
---|---|---|
チョーキング | 手擦り・布拭き | 粉多→下地強化材必須 |
含水率 | 水分計/晴天経過 | 高値→乾燥待ち |
付着力 | 試験片/カット | 不良→ケレン/再下塗 |
目地 | 目視/打診 | 打ち替え・増し打ち |
外壁コーティングと外壁塗装を組み合わせる際は、外壁塗装 diy スプレーや外壁塗装 diy サイディングなどの情報を参考にしても、最終的には現場の下地状態と製品仕様書に基づき、適切な手順と条件設定で進めることが重要です。
外壁の汚れ防止コーティングは、感覚的な「撥水が強い」だけでは比較できません。接触角と転落角で水滴の離脱性、膜厚と塗布量で保護力とコスト、期待耐用で更新時期を定量把握します。例えば超疎水は接触角100〜120度、転落角10度以下が目安で、雨筋や粉塵の離脱が早くなります。一方、親水は接触角10〜20度でも薄膜で水膜化し、セルフクリーニングを狙います。年あたりコストは初期費用を期待耐用で割り、清掃頻度の低減効果を含めた総保有コストで評価します。
タイプ | 接触角(度) | 転落角(度) | 膜厚(μm) | 塗布量(kg/㎡) | 期待耐用(年) | 初期費用(円/㎡) | 年あたり(円/㎡) | 清掃頻度(年) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
超疎水(シリコン/フッ素) | 105–120 | 5–10 | 5–20 | 0.10–0.18 | 10–18 | 2,500–6,000 | 170–500 | 0–1 |
親水(光触媒) | 10–20 | — | 0.1–5 | 0.02–0.08 | 8–15 | 3,000–6,500 | 200–810 | 0–1 |
ガラス(無機) | 90–105 | 10–20 | 5–30 | 0.08–0.20 | 12–20 | 4,000–8,000 | 200–670 | 0–1 |
クリア(フッ素樹脂) | 95–110 | 10–15 | 20–40 | 0.15–0.25 | 12–18 | 3,500–7,000 | 195–580 | 0–1 |
上記は実務で用いる評価レンジです。製品カタログの測定条件(基材、温湿度、試験法)が一致しているかを確認して比較してください。
外壁材の吸水性と表面エネルギーで適合が分かれます。意匠サイディングのクリア層が健全ならクリア塗装やフッ素系が適合し、艶消し仕上げは高グロスのガラスで艶が上がる点に注意が必要です。タイルは浸透型撥水剤が目地保護に有効で、表面型は滑りやすさや外観変化を確認します。モルタルやコンクリートは疎水系で白華・吸い込みを抑え、親水系は都市汚れの分解に有効です。
外壁/仕上げ | 超疎水(フッ素/シリコン) | 親水(光触媒) | ガラス(無機) | クリア塗装 | 浸透型撥水剤 |
---|---|---|---|---|---|
窯業系サイディング(意匠クリア健全) | 可 | 可 | 注意(艶変化) | 可 | 不要 |
窯業系サイディング(粉化あり) | 下地補修後 | 施工不可(密着) | 原則不可 | バインダー要 | 条件付 |
モルタルリシン/吹付 | 可 | 可 | 注意(艶) | 可 | 可 |
打放しコンクリート | 可 | 可 | 可 | 可 | 可(推奨) |
タイル(施釉) | 可 | 条件付 | 注意(滑り) | 不向き | 目地中心(推奨) |
タイル(無釉/目地多) | 可 | 可 | 注意 | 不向き | 推奨 |
金属サイディング | 可(要プライマー) | 条件付 | 条件付 | 可 | 不要 |
艶消し全般 | 艶上がり注意 | 可 | 艶上がり大 | 艶上がり | 変化少 |
「注意」は試験片での外観・滑り・密着確認を推奨します。
品質は施工条件で大きく変わります。基材含水率は木質系で12%以下、モルタル/コンクリートで8%以下が一つの目安です。気温は5〜35℃、相対湿度は85%未満、露点差3℃以上、風速は5m/s未満が安全域です。降雨予報や夜露の時間帯は硬化不良の原因になります。可使時間、塗り重ね間隔、膜厚の実測(コーム/ウェットゲージ)、塗布量の管理、テープ試験での密着確認を運用し、試験塗りで色調と艶を評価します。
DIYでの外壁コーティングは、地上から2.0m程度までの低所やベランダ内側など、安定した足場が確保できる範囲に限定すべきです。はしご作業は三点支持を維持でき、転倒防止具を使用し、作業時間を短く区切れる場合に限ります。スプレー缶やスプレーガンは飛散が大きく、近隣車両への養生が不可なら使用を避けます。高所や急勾配、2階以上、複雑形状は足場が必要で、無足場のロープは専門資格と装備が条件です。硬化型ガラスや光触媒の均一施工はDIYではムラが出やすい点も限界です。
項目 | DIY可 | 業者推奨 |
---|---|---|
高さ | 2.0m以下 | 2.1m以上 |
面積 | 30㎡未満 | 30㎡以上 |
仕上げ | 平滑/小面積 | 複雑/意匠 |
器具 | ローラー/刷毛 | スプレーガン |
養生 | 自力で完全 | 広範囲必要 |
クリア塗装は既存意匠を残せますが、再塗装には下地状態の見極めが不可欠です。チョーキング(粉化)が進んだサイディングでは、透明塗膜は密着せず白濁や剥離を招きます。布で擦って粉が強く付く場合は、バインダーやシーラーで固着後に着色系へ切替える判断が現実的です。微細なひび割れや目地コーキングの劣化も透けて見えるため、打替えや増し打ちを先行します。既存クリアが健全なら同系樹脂での重ね塗りは可能ですが、溶剤系の相溶性と可塑剤移行に注意し、試験塗りで白化や艶むらを確認します。
促進耐候試験(キセノン/QUV)の時間表示は、実曝露年数と同一ではありません。光強度、波長分布、水噴霧の違いにより、屋外の紫外線、熱、汚染物質、凍結融解、塩害の複合劣化を完全再現できないためです。カタログの「2,000時間で光沢保持90%」は、同じ地域・方位での年数換算が困難です。実曝露データ(海岸/工業/都市/山間)の併記や、方位別の劣化差、清掃メンテの有無を確認し、期待耐用はレンジで評価します。実邸の経年写真や清掃頻度の記録が意思決定に有用です。
UVカットは退色抑制に有効ですが、高濃度の吸収剤は黄変や艶変化の要因になります。防カビ・防藻は薬剤の溶出による持続性に限界があり、撥水や親水と組合せる場合は表面エネルギーの変化で汚れ挙動が変わることがあります。帯電防止は粉塵付着を減らしますが、導電性添加で水濡れ時の外観に影響するケースがあります。機能の足し算ではなく、目的(退色抑制、カビ抑止、粉塵低減)を優先順位付けし、実使用での副作用(艶、色、滑り、メンテ手順)を事前評価しましょう。
汚染の種類と立地で変わります。粉塵や雨筋が多い道路沿いは超疎水が水滴と一緒に汚れを弾き、乾燥時の再付着も抑えやすいです。排気ガスや有機汚れが多い都市部の南面では、親水の水膜が薄い汚れを広げて流しやすく、光触媒が有機物を分解します。樹脂系の超疎水は低温時の転落角が悪化しやすく、親水は日照の少ない面で効果が限定されます。清掃頻度と日照・降雨の条件を加味して選定するのが合理的です。
既存クリアの樹脂種と劣化度に依存します。無機ガラスは硬質で密着要件が厳しく、粉化や油分、可塑剤ブリードがあると密着不良を起こします。健全なフッ素系クリアに対しては、細目研磨と無機対応プライマーで適用できる場合がありますが、艶上がりや色の深みが増す可能性があります。小面積での密着試験(クロスカット/テープ)と外観確認を行い、問題があれば同系樹脂での重ね塗りや再クリアを検討してください。
スプレー缶の簡易コーティングは塗布量と膜厚が不足しやすく、屋外の紫外線や雨風で劣化が早まります。実稼働では6〜18カ月程度の持続が一般的で、年単位の耐用を求める場合はローラー/刷毛やスプレーガンで所定膜厚を確保する製品が適します。外壁用防水スプレーや外壁用コーティングスプレーは、門柱や手すり、1階腰壁など小面積の補助用途に限定すると費用対効果が高まります。
粉化が顕著な場合、直接のコーティングは不可です。表面の粉を除去し、浸透型のバインダーやシーラーで固着してから上塗りを行います。透明の外壁クリアは粉を封じ込めても白濁やムラが出るため、着色塗装へ切替える判断が現実的です。目地の外壁用コーキング剤(シーリング材)は先行打替えし、可塑剤のにじみや塗料のはじきを抑制します。粉化の程度が軽微なら試験塗りで密着と外観を確認します。
足元が水平で、作業高さが2.0m以下、転落危険がない範囲です。はしご作業は壁面との角度75度前後、上端の固定、滑り止め、三点支持を維持できる短時間作業のみ可とします。スプレーガンや延長ローラーなど両手を要する作業、2階以上、傾斜地、車両通行の近接は足場が必要です。飛散養生が十分にできない環境では、缶スプレーの使用も避けてください。
目地の吸水と凍害・白華対策を重視するなら浸透型撥水剤が基本です。施釉タイルは表面が緻密で、表面型は滑りやすさや光沢変化が課題になることがあります。無釉タイルは表面型も選択肢ですが、試験塗りで外観と滑り、汚れの定着性を確認してから決めます。タイル面は部位ごとの素材差が大きいため、同一建物内でも部位別に最適化するのが安全です。
フッ素系は柔軟でクラック追従性に優れ、長期の撥水と汚染付着低減が得られます。ガラス系は硬度と耐擦傷性、耐汚染で優れますが、脆性があり下地の動きに弱い場合があります。海岸部や強日射ではガラス系の耐退色性が有利なケースもあります。躯体の動きが小さく意匠性を重視する面はガラス、動きが出やすい目地周りやモルタルはフッ素系が無難です。
樹脂種や無機率、固形分、必要膜厚、下塗りの有無、施工方法(ガン/ローラー)、養生量、立地条件(高所・狭所)で決まります。外壁コーティングの価格は㎡単価だけでなく、外壁用コーキングの打替え、洗浄、補修、廃材処理、移動費などの付帯費が合計を大きく左右します。年あたりコストで他製品と比較し、清掃回数の削減分まで含めて評価してください。
表面の撥水や親水性の低下、光沢保持率の低下、汚れの除去性が悪化した段階が目安です。一般的には8〜15年レンジですが、方位や立地で大きく変動します。部分的な再コーティングは境界が見えやすいため、面単位での更新を基本とし、下地の補修やコーキングの更新と同時に計画すると効率的です。
散水で水滴の形状を観察します。丸いビーズ状なら撥水性が維持、平坦な水膜なら親水または撥水低下です。同時に接触角の簡易比較として、同一面内の複数点で動画撮影し、転落角の差を確認します。水が筋になって残る場合は撥水低下や表面エネルギーの不均一化が考えられます。油性マーカー試験は外観を損ねる可能性があるため推奨しません。
タイプ | 接触角/転落角 | 膜厚 | 期待耐用 | UVカット | 防カビ | 上塗り互換 | 適合外壁材 | 初期費用 | 年あたり | 清掃頻度 |
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超疎水 | 105–120°/5–10° | 5–20μm | 10–18年 | 任意添加 | あり | 同系可 | サイディング/モルタル/金属 | 中 | 低〜中 | 低 |
親水 | 10–20°/— | 0.1–5μm | 8–15年 | あり | あり | 下塗相性重視 | サイディング/モルタル/タイル | 中 | 中 | 低 |
ガラス | 90–105°/10–20° | 5–30μm | 12–20年 | 高耐候 | あり | 下塗限定 | コンクリ/タイル/平滑 | 中〜高 | 中 | 低 |
クリア | 95–110°/10–15° | 20–40μm | 12–18年 | あり | あり | 同系優先 | 意匠サイディング | 中 | 低〜中 | 低 |
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