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2026.09.12

冬場のお風呂で感じる厳しい底冷えやヒートショックの不安を解消するため、浴室の壁への断熱シート施工を検討する方が増えています。壁からの冷輻射を抑えて浴槽の湯温低下を防ぐ断熱化は、毎日の入浴を快適にしつつ光熱費を抑える有効な手段です。しかし、100均のリメイクシートや一般的な窓用シートを安易に貼ると、わずかな隙間から侵入した湿気によって壁の内側に黒カビが繁殖し、下地を腐食させる深刻なトラブルを招きます。
浴室の断熱効果を確実に引き出すには、防水性と撥水性を備えた専用シートを選び、下地処理から端部の防カビシーリングまでを隙間なく仕上げる正しい密着施工が不可欠です。さらに、在来工法のタイル壁とユニットバスでは、冷え込みの原因や必要な下地補修の手順が根本から異なります。
大信建設では、1,000件超の施工で培った現地確認の手順として、壁材の種類だけでなく、タイル目地の深さ、既存コーキングの切れ、換気の状態まで確認しています。壁の冷たさだけを見て材料を決めず、湿気の逃げ道と水が入りやすい端部を見極めることが、施工後の浮き・カビを防ぐ重要なポイントです。
本記事では、DIYで失敗しないための完全4ステップをはじめ、床や窓を含めた浴室全体の断熱性能を高める工夫、さらにはプロが手掛ける浴室パネル工法との費用対効果の違いまでを徹底解説します。無駄な出費とカビ被害を回避し、暖かく清潔な浴室環境を最速で手に入れるための判断基準を網羅しました。ご自宅の状況に最適な施工方法を見極める指針としてご活用ください。
CONTENTS
冬場のお風呂場で感じるあの「ゾクッ」とする強烈な冷え込みは、単に室内の空気が冷たいだけではありません。実は壁面から絶え間なく奪われる熱が大きな原因です。浴室の壁へ断熱シートを施工することで、冷気の侵入をブロックし、命に関わるヒートショックのリスクを大幅に減らすことができます。
暖房をつけているのに足元や肩まわりが寒いと感じる現象の正体は冷輻射(れいふくしゃ)です。
人間の体からは常に遠赤外線の熱が放射されていますが、周囲の壁がキンキンに冷えていると、熱が壁側に急速に吸い取られてしまいます。これが体感温度を急激に下げる仕組みです。
人が感じる体感温度は、次の関係式で決まります。
体感温度 =(室内の空気温度 + 壁や床の表面温度)÷ 2
たとえ浴室内の空気温度が20℃あっても、壁の表面温度が8℃しかなければ、体感温度は14℃まで落ち込んでしまいます。
| 浴室環境 | 室内の空気温度 | 壁の表面温度 | 人が感じる体感温度 |
|---|---|---|---|
| 施工前(冷え切った壁面) | 20℃ | 8℃ | 14℃(強い底冷え) |
| 施工後(断熱シートあり) | 20℃ | 16℃ | 18℃(暖かさをキープ) |
壁に断熱層を設けて表面温度を引き上げることで、無駄な放熱を防ぎ、入浴時の体感温度をグッと押し上げることが可能になります。
壁の断熱性能が高まると、空間全体の熱が外へ逃げにくくなるため、浴槽のお湯の冷め方に明確な違いが現れます。
お湯の熱は水面から空気中へ蒸発するだけでなく、冷たい壁に触れた空気が冷やされて循環することで急速に奪われていきます。断熱材で覆われた浴室では室温の低下が緩やかになり、お湯の温度低下をしっかりブロックできます。
熱を逃がさない構造をつくることは、日々の光熱費の節約に直結します。
浴室の寒さを根本から解決するには、現在の壁の構造に合わせたアプローチが欠かせません。築年数の経った戸建てに多い在来工法のタイル壁と、マンションや比較的新しい住宅のユニットバスでは、冷え込むメカニズムが全く異なります。
【在来浴室(タイル壁)】
外気 ──> [コンクリート・モルタル] ──> [タイル(熱がダイレクトに逃げる)]
【ユニットバス(パネル壁)】
外気 ──> [壁裏の空気層(隙間風)] ──> [薄い壁パネル(断熱不足で冷えやすい)]
壁の材質に適した断熱材を正しく選定して配置することが、冬でもぽかぽかと温かい理想のバスタイムを実現するための第一歩です。
インターネットやSNS動画を見ていると、誰でも簡単に100均アイテムや通販の資材でお風呂をプチリフォームできるような情報がたくさん流れています。しかし、湿気と温度変化が激しいお風呂場は、お住まいの中で最も過酷な環境です。
安易なDIYに手を出すと、見た目が悪くなるだけでなく、見えない壁の裏側で黒カビが大繁殖して健康被害や建物の腐食を引き起こす恐れがあります。ここでは、現場を数多く見てきた技術者の視点から、ネット上に広まる誤った情報の危険性と正しい知識をお伝えします。
お風呂の寒さを何とかしたいとき、手軽に手に入る100均のリメイクシートを貼ろうと考える方が少なくありません。しかし、断熱という目的において、一般的な塩化ビニル製のリメイクシートはほとんど効果を発揮しません。
熱の移動を防ぐためには、素材の中に動かない空気の層をどれだけ確保できるかが全てです。100均などで販売されている装飾用シートは、厚みがわずか0.1ミリメートル前後しかなく、空気の層が一切含まれていません。
| 素材の種類 | 主な厚み | 空気の層 | 断熱や冷輻射の抑制効果 |
|---|---|---|---|
| 100均リメイクシート | 約0.1mm | なし | ほぼ期待できない |
| 一般的な窓用プチプチシート | 約3.0mm〜4.0mm | あり(簡易) | 一時的な冷気遮断のみ |
| 浴室専用の断熱パネルや専用シート | 約4.0mm以上 | あり(高密度発泡体) | 壁からの冷輻射を大幅に遮断 |
壁から伝わる底冷えを遮断するためには、最低でも発泡ポリエチレンなどの独立した空気室を持つ厚みのある素材が不可欠です。薄いシートはデザインを変える目的にしか使えず、冷え込み対策としては意味をなさない点を理解しておきましょう。
DIYで最も恐ろしいトラブルが、シートの端や継ぎ目に生じるわずかな隙間から水が吸い上げられる現象です。
細い隙間に液体が勝手に入り込んでいく物理現象を毛細管現象と呼びますが、浴室内の水滴はわずか0.1ミリメートルの隙間であってもぐんぐん奥へと吸い込まれていきます。
一度シートの裏側に水が回ってしまうと、表面からはカビ取り剤が一切届きません。以前に手掛けた改修現場でも、ご自身で貼ったシートを剥がした瞬間、壁一面に広がった黒カビと強烈な異臭が放たれ、下地まで深く傷んでしまっていた事例がありました。端部の防水処理を完全に施さない施工は、カビを壁の中に飼いならすような危険を伴います。
賃貸住宅や現状復帰を意識して、綺麗に剥がせるタイプの強力両面テープを使う方が増えています。しかし、この選択が後々大きな後悔を生む原因になります。
一般的な剥がせる粘着テープの多くはアクリル系やゴム系の粘着剤が使われており、お風呂特有の高温多湿な環境に耐えられる設計になっていません。水分と熱に長期間さらされることで、粘着剤が化学変化を起こしてドロドロの液状に変化します。
この状態になるとシートが自重でズリ落ちるだけでなく、溶け出した粘着成分がタイルの目地や壁の細かな凹凸に入り込み、通常の洗剤では二度と落とせない頑固な汚れとなって残ってしまいます。原状回復するはずが、かえって壁全体を汚損させて下地補修費用を跳ね上げてしまうケースが後を絶ちません。浴室の壁への断熱シート施工では、環境に適した専用の接着剤や防カビ仕様の変成シリコーンシーリングによる確実な密閉が絶対条件となります。
冬場の厳しい冷え込みやヒートショックの不安を和らげるため、浴室の壁への断熱シート施工をご自身でやり遂げたいと考える方は多いはずです。水回りの断熱は少しの油断が命取りとなり、数ヶ月で裏側に黒カビがびっしり生えてしまう失敗も現場では日常茶飯事です。
長持ちさせて断熱性能を100パーセント引き出すための、プロ直伝の4ステップを詳しくお届けします。
断熱シート貼りの成否は、貼る前の下地作りで9割が決まります。浴室の壁には目に見えない皮脂汚れや石鹸カス、水垢が強固にこびりついており、そのままシートを貼っても接着剤が密着せず、数週間でベロリと剥がれてしまいます。
| 下地処理の工程 | 使用する道具 | プロが実践する作業のポイント |
|---|---|---|
| 1. 徹底洗浄 | 浴室用中性洗剤・ブラシ | 目地の奥に潜むカビや皮脂汚れを完全に洗い落とす |
| 2. 脱脂処理 | 無水エタノール・マイクロファイバー | 油分を残さないよう壁全体をしっかり拭き上げる |
| 3. 完全乾燥 | 換気扇・送風機(ドライヤー) | タイル目地や細かな凹凸の水分をゼロにする |
市販の消毒用アルコールは水分を含んでいるため、水分が一切入っていない純度99パーセント以上の無水エタノールを選んで脱脂するのが鉄則です。洗浄後は換気扇を一晩回し続けるか、ドライヤーの温風を当ててタイル目地の奥深くまで水分を完全に蒸発させてください。
下地が完璧に乾いたら、シートの切り出しに入ります。浴室内の湿気や水滴は、シート同士のわずかな継ぎ目から毛細管現象によって裏側へと吸い込まれていきます。つなぎ目の数を限界まで減らす割り振りが必須です。
壁の縦横サイズをメジャーで測る際は、上下左右で数ミリの歪みがあるケースが多いため、必ず複数箇所を測定してください。
切り口がギザギザになると防水処理の密着度が落ちるため、刃をこまめに折りながら滑らかにカットするのが綺麗に仕上げるコツです。
カットが終わったらいよいよ貼り付けです。裏面の剥離紙を一度にすべて剥がしてしまうと、狙いと違う位置にくっついてリカバリーができなくなります。
裏紙を上部から15センチほどだけ剥がし、壁の最上部に水平を合わせて仮止めします。そこからプラスチック製のスキージー(ヘラ)を使い、中央から外側へ向けて空気を押し出すように少しずつ下へと圧着していきましょう。
もし途中で大きな気泡が残ってしまったら、無理に押し込まずに一度ゆっくりシートを浮かせ、再度ヘラで撫で伸ばしてください。シート自体に空気層を持つ厚手タイプの場合は、ヘラで強く擦りすぎると表面が傷つく恐れがあるため、フェルト付きのスキージーを使うか、当て布をして均一に体重をかけるのが現場の知恵です。
シートを貼り終えたら、四方の端部やコーナー部分の防水シーリングで仕上げます。この工程を省いたり雑に済ませたりすると、入浴時の湯気がシート裏に入り込み、壁の内部で黒カビが大繁殖してしまいます。
【シーリング施工の流れ】
マスキングテープを端から2〜3ミリ離して貼る
↓
防カビ剤入りの変成シリコーンを隙間なく充填する
↓
専用ヘラで一定の角度を保ちながら表面を平らに均す
↓
シリコンが乾き始める前にテープを素早く剥がす
使用する充填材は、一般的なシリコンではなく必ず防カビ剤配合の浴室専用シリコンを選んでください。マスキングテープを剥がした後は、最低でも24時間は入浴を控え、コーキングが完全に硬化するまで水気を避けることで、カビに強い強固な防水層が完成します。
浴室の壁への断熱シート施工を成功させる最大のカギは、シートを貼る前の下地作りにあります。一戸建ての在来工法に多いタイル壁と、マンションや近年の住宅で主流のユニットバス壁では、冷え込む原因も劣化の症状も全く異なります。
壁材ごとの特徴や傷み具合を無視して同じように作業を進めてしまうと、数ヶ月でシートが浮き上がったり、内部に湿気がこもってカビだらけになったりする原因になります。それぞれの材質に合わせた正しい下地補修の手順とシートの選び方を詳しく見ていきましょう。
タイル壁にそのまま断熱シートを貼ろうとすると、目地の深い溝が邪魔をしてシートと壁の間に無数の空気のトンネルができてしまいます。この空洞にお風呂の湯気が入り込むと、結露が発生して壁の奥底で黒カビが大繁殖してしまいます。
そこで欠かせないのが、タイルの段差を完全に埋めて平らな下地を作るパテ処理です。
| 下地処理の工程 | 使用する道具と材料 | 作業のポイント |
|---|---|---|
| 目地清掃とカビ取り | 塩素系漂白剤、ワイヤーブラシ | 目地にしみ込んだカビと皮脂汚れを完全に落とす |
| 脱脂と乾燥 | 無水エタノール、ウエス | 油分を取り除き、ドライヤーなどで水分を完全に飛ばす |
| パテ埋め | 耐水エポキシパテ、ゴムヘラ | 目地の溝に隙間なく押し込み、表面を平滑にならす |
| サンディング研磨 | 耐水サンドペーパー(#240〜#400) | パテが完全硬化後、段差が手で触れて分からないレベルまで削る |
目地の深さが2ミリ以上ある場合は、一度に盛るとひび割れの原因になるため、2回に分けて塗り重ねるのがツルツルに仕上げるプロの技です。指先でなぞったときに引っかかりが一切なくなるまで平らにならすことで、断熱シートの粘着剤が隙間なく密着し、驚くほど剥がれにくくなります。
ユニットバスの壁は、金属鋼板の上に塩化ビニルフィルムが貼られた構造が一般的です。経年劣化によって表面のフィルムがペリペリと剥がれてきたり、内部の金属が錆びて水膨れのようにポコポコと膨らんだりすることがよくあります。
このふくらみは、内部の鋼板が水分で錆びて体積が膨張している危険なサインです。上からそのままシートを被せても、内部の錆が進行して壁ごとボロボロになってしまいます。
補修する際は、まずカッターで膨らんでいる部分を大胆に切り開き、浮き上がったフィルムを剥がします。露出した赤錆をサンドペーパーやワイヤーブラシで削り落とし、必ず金属用の防錆プライマーを塗布してください。その後、耐水パテで削った部分の段差を埋めて平滑に整えます。
目に見える部分だけでなく、下地内部のサビ止めまで徹底することが、リフォーム後の美しさと断熱効果を長持ちさせる秘訣です。
浴室の壁に施工するシートを選ぶときは、一般的な窓用シートやインテリア用の薄いリメイクシートを選んではいけません。お風呂場は激しい温度差と高い湿度、直接シャワーの水滴がかかる過酷な環境です。
失敗を防ぐために、必ず以下の基準をすべて満たした浴室専用の製品を選びましょう。
100均などで手に入る厚み0.1ミリ程度の塩ビシートは、色柄を変える模様替えには使えても、冷輻射を遮断する空気の層が存在しないため断熱性能は期待できません。しっかりとした厚みと断熱層を持ち、裏面に水が入らない完全防水の専用シートを選ぶことが、冬の冷え込みを劇的に改善するための絶対条件です。
壁面へのシート施工は冷輻射を抑える強力な手段ですが、浴室全体の暖かさを極めるには空間全体の熱の逃げ道を塞ぐ視点が欠かせません。
熱は温度が高い場所から低い場所へ移動する性質があり、特に熱伝導率が高い窓や床、浴槽自体が無対策のままだと、せっかく壁を断熱しても期待した室温アップを実感しにくくなります。
浴室内の各部位から逃げる熱の割合を把握し、優先度の高い箇所から組み合わせて対策を講じることが重要です。
| 浴室内の部位 | 熱損失の主な原因 | おすすめの追加対策 | 期待できる相乗効果 |
|---|---|---|---|
| 窓・開口部 | 単板ガラスやアルミサッシからの熱伝導 | プラダン二重化・内窓設置 | コールドドラフト現象の完全遮断 |
| 洗い場(床) | コンクリート下地やタイルの熱伝導 | 浴室用発泡床シートの敷設 | 足裏からの直接的な冷えと転倒防止 |
| 浴槽まわり | 外気や基礎への放熱・水面からの蒸発 | 浴槽裏の発泡ウレタン・高断熱ふた | 湯温低下の抑制と追い焚き光熱費削減 |
壁だけでなく窓や床、浴槽の3点を連動させて断熱補強を行うことで、冬場の危険なヒートショックリスクを大幅に低減できます。
浴室の窓は、空間内で最も激しく熱が逃げ出す最大の弱点です。
昔ながらの在来浴室や中古住宅の一戸建てでは、単板ガラスとアルミサッシが使われているケースが多く、外気の冷たさがダイレクトに室内に伝わります。
窓面で冷やされた空気が足元へ猛烈な勢いで吹き降りるコールドドラフト現象を止めるには、空気層を作る複層化が極めて有効です。
DIYで手軽に対策するなら、中空構造を持つプラスチック段ボール(プラダン)を窓枠のサイズに合わせてカットし、簡易的な二重窓として設置する方法が経済的です。
サッシのレール部や枠周りに両面テープ付きのレール部材を取り付け、プラダンをはめ込むだけでも冷気の侵入を大幅に抑えられます。
永続的な断熱性能と見た目の美しさを求める場合は、既存のサッシの内側にもう1枚樹脂サッシを取り付けるカバー工法や内窓の追加設置工事が確実です。
気密性が跳ね上がり、窓周辺の結露を防ぎながら快適な入浴環境を維持できます。
一歩足を踏み入れた瞬間に足裏を刺すような床の冷たさは、体感温度を一気に奪う大きな要因です。
特に在来工法のタイル床やコンクリート下地は蓄冷性が高く、真冬には氷の上を歩くような感覚に陥ります。
この強烈な底冷えを解消するには、熱を伝えにくい独立気泡構造を持った浴室専用の発泡床シートを上貼りするのがベストです。
東リのバスナリアルデザインやサンゲツのオフロアなどに代表される浴室用床シートは、優れたクッション性と高い断熱性を兼ね備えています。
床材を張り替える大規模な工事を行わなくても、既存のタイル床の上に専用の接着剤で圧着するだけで施工が完了します。
表面の水はけが良く防滑性にも優れているため、ヒートショック対策だけでなく、滑りやすい浴室内の安全対策としても非常に費用対効果の高いアプローチです。
壁や窓を整えたら、最後に見直すべきはお湯をためる浴槽自体の保温構造です。
古いFRP浴槽やステンレス浴槽の裏側は空気層や断熱材がなく、床下の冷気に直接触れているケースが珍しくありません。
お湯を張っても底面や側面から熱が逃げてしまい、入浴中に何度も追い焚きを繰り返す原因になります。
浴槽の保温性を高めるテクニックと日常の工夫は以下の通りです。
現場を数多く見てきた業界人の目線でお話しすると、浴槽エプロンを外して内部に断熱材を追加するDIYは、内部に湿気を溜め込んでカビの温床を作るリスクが非常に高いため、プロによる慎重な防湿施工が求められる領域です。
日常的な対策としては、保温性能に優れた風呂ふたを隙間なく閉めるだけでも湯温低下が劇的に緩和され、ガス代や電気代の節約に直結します。
冬場のお風呂で感じる厳しい寒さやヒートショックのリスクを減らすため、浴室の壁への断熱シート施工を検討する際、多くの方が自分で作業するDIYか専門業者によるリフォームかで頭を悩ませます。初期費用を抑えて手軽に寒さ対策を行いたい気持ちがある一方で、湿気の多い浴室では施工品質が寿命に直結します。手軽なDIYと高耐久なプロの工法を費用や耐用年数の観点から比較し、賢い選択肢を見極めていきましょう。
ホームセンターや通販で手に入る浴室専用の断熱シートや防カビシーリング材を使えば、DIYでの施工費用は全体で約1万円から3万円程度に収まります。初期費用を大幅に抑えられる点が最大の魅力ですが、実際の現場視点で見ると耐用年数はおよそ1年から3年程度が限界となるケースが目立ちます。
浴室は毎日の入浴による急激な温度変化と高湿度にさらされる過酷な環境です。どれほど丁寧に貼ったつもりでも、わずかな皮脂汚れの拭き残しや湿気による接着剤の劣化によって端から浮きが生じやすくなります。
| 工法 | 初期費用の目安 | 想定耐用年数 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|---|
| DIY断熱シート貼り | 1万〜3万円 | 1〜3年 | 初期費用が非常に安く手軽に試せる | 密閉が難しくカビや剥がれが起きやすい |
| プロの浴室パネル工法 | 10万〜25万円 | 15〜20年 | 高断熱かつ高意匠で清掃性も抜群 | まとまった初期投資が必要 |
安価に導入できる反面、数年ごとの貼り替え作業やカビ取り掃除の手間が発生する点はあらかじめ考慮しておく必要があります。
専門業者が行う浴室パネル工法は、既存のタイル壁やユニットバスの壁面の上に断熱性の高い樹脂複合パネルを直接貼り付ける工法です。浴室全体を解体してユニットバスをまるごと交換する場合、80万円から150万円以上の高額な費用がかかりますが、パネル工法なら約10万円から25万円前後と費用を大幅に抑えられます。
プロが施工する最大強みは、15年以上の長期にわたる高い耐久性と断熱性能です。専用の強力な接着剤と専用部材による確実なシーリング処理により、壁の内部へ水分を一切通しません。
DIYで浴室の壁への断熱シート施工を行う際に最も警戒すべきトラブルは、シートの裏側に水が入り込んで見えない場所で発生する大規模な黒カビと下地腐食です。
端部のシーリングに針の穴ほどの隙間があるだけで、毛細管現象によって水分が吸い上げられます。湿気が逃げないシートの裏側で繁殖したカビが在来浴室のモルタルや木下地、マンションや一戸建ての壁体内まで侵入した場合、シートを剥がすだけでは修復できません。下地の解体・補修工事が必要になり、結果として20万円から40万円以上の余計な出費に発展してしまいます。
1年あたりの維持費で換算すると、DIYシート貼りは貼り替えの手間を含めて年間約1万円前後のコストがかかります。一方で15年以上長持ちするプロのパネル工法は年間あたり約1万円から1.5万円程度となり、日々の安心感やお手入れの負担軽減を考えると実質的なコストパフォーマンスで大きな差は生まれません。浴室の状態や今後の居住年数に合わせて、無理のない工法を選びましょう。
浴室の寒さを解消したいとき、自分でシートを貼るかプロへ頼むかの境界線は非常に悩ましいポイントです。誤った判断で無理に作業を進めると、湿気が壁の奥へ入り込み建物の寿命を縮めてしまうことすらあります。失敗して余計な出費を増やさないために、現状の劣化度合いを正しく見極める基準と、信頼できる相談先の選び方を押さえておきましょう。
DIYで対応できるのは、壁や下地に腐食や構造的な問題がなく、表面的な冷え込みだけを抑えたいケースに限られます。壁の内部でトラブルが進行している場合、上からシートを貼って塞ぐ行為はカビや木材の腐食を加速させるため絶対に避けなければなりません。
以下のチェックリストを参考に、ご自宅の浴室の状態を確認してみてください。
| 状態・症状 | 危険度判定 | 推奨される対応 |
|---|---|---|
| タイルのひび割れなし・目地の痩せのみ | 低 | DIY施工可能(丁寧な清掃と目地埋めが前提) |
| ユニットバス壁の軽い色あせ・冷気 | 低 | DIY施工可能(専用シートによる防寒対策) |
| タイルが浮いている・叩くと軽い音がする | 高 | 専門業者へ依頼(内部モルタルの剥落リスク) |
| ユニットバス壁の大きなふくらみ・サビ汁 | 高 | 専門業者へ依頼(鋼板下地の腐食が進行) |
| 壁の継ぎ目や床との境目に深い隙間がある | 最も危険 | 専門業者へ依頼(構造木材への漏水リスク) |
特にタイル壁で指で押して動く感覚がある場合や、ユニットバスの壁面が水ぶくれのように膨らんでいる場合は、すでに下地まで水分が到達しています。この段階で断熱シートを貼ってしまうと、閉じ込められた湿気によって内部崩壊が進み、将来的に壁ごと解体する高額な工事になりかねません。異変を感じたら作業の手を止め、プロの診断を受けるのが確実です。
専門業者へ相談する際に最も注意したいのは、利益優先で最初からユニットバス全体の全交換工事ばかりを勧めてくる業者です。確かに全交換は確実ですが、100万円以上の大きな費用がかかります。費用対効果を重視するなら、既存の壁を活かした浴室パネル工法など、柔軟な工法を提案できる会社を選びましょう。
信頼できるリフォーム会社を見極めるポイントは次の3点です。
私たちのように地域密着で数多くの水回りトラブルを解決してきた施工店では、お客様のご予算や住まいの築年数に合わせて、最小限の費用で最大限の断熱効果を得られる方法を第一に考えます。お風呂の寒さや壁の傷みを感じたら、症状が軽いうちに現場経験が豊富な専門家へ相談し、無駄のない最適なプランを見つけ出してください。
著者 – 大信建設
冬場の浴室の寒さ対策として、手軽な断熱シートを壁にDIY施工される方が増えています。しかし神奈川や東京の現場へ修繕に伺う中で、「ネットの情報を真似してシートを貼ったら、壁とシートの間に水が入り込み、一面に黒カビがびっしり生えてしまった」というご相談を受けるケースが後を絶ちません。
浴室は家の中で最も湿気がこもりやすく、端部のシーリング処理や下地処理にわずか0.1ミリでも隙間や不備があると、毛細管現象で内部に水が侵入し、見えないところでカビの温床となってしまいます。良かれと思って行ったDIYが原因で、結果的により大掛かりな下地補修や解体が必要になり、余計な費用がかかってしまう現場を数多く見てきました。
そこで、無駄な出費や健康被害を防ぐために、断熱シート施工の正しい手順と防カビ対策、そしてプロによる浴室パネル工法との耐久性の違いを分かりやすくお伝えしたく筆を執りました。現場目線の正しい知識を役立てていただき、安心で暖かいお風呂時間を手に入れていただければ幸いです。
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